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飯田彩乃さんに選歌いただきました。

新年明けましておめでとうございます。
年が変わって、また新しい題詠の季節が始まりますね。
とりあえず今のところは参加を考えているのですが、どうなりますかね。


で、今回の更新ですが、昨年の題詠百首について、
飯田彩乃さんに、五首選歌いただきましたので、
お礼とともに、選ばれた五首についての簡単なコメントを書いておこうかと思います。
飯田さん、ありがとうございました。
昨年、12月初めには選歌いただいていたのに、お礼のコメントがひと月近くも遅れてしまったこと、お詫びします。

飯田さんのブログ  陸を離れる
以下が選歌された五首です。
というわけで、例によって、いくつか自作解説のようなことをしてみます。無粋をお許しください。

001:初
白雪を踏み初めたりし足裏に溶けてはかなき冬の燃え殻

006:困る
「困るのはいや」とつぶやく唇に触れる親指白んで透けた

012:堅
膝頭が堅くぶつかるその音が鈍くゆさぶる言葉の合間

038:抱
モノクロの写真の中で銃を抱く姿は遠く影を投げ出す

070:介
離れゆく気持のすきま無機質に介在してる着信ランプ



「006:困る」では、なぜ親指が白んで透けるのかが謎、とのコメントをいただきました。
僕のイメージとしては。「困るのはいや」という言葉のアンバランスさ、実体のなさ、といったものを、
言葉に一番近いところにある肉体である唇に触れることで表現したかったような。
なので、そのアンバランスさ、儚さ、といったものをどう捉えるかで、いろいろな読み方がなされてしまったり、何を言っているのかわからない、という感想だけが残ったりする、危うい作だったと思います。
そういう意味で、飯田さんに 「どこかこの二人の関係性も触れれば透けてしまうような危ういもののように思えてくる。」 という感想をいただけたことは、この歌のイメージがひとつの形として拾い上げられたようで、嬉しいことでした。

「012:堅」、「電車のボックス席に向かい合わせで座っているシーンだろうか。」 という解釈にとても感心しました。なるほど~。
実はこの歌は、もう少しエロティックというか、アダルトなイメージで詠んだ歌で・・・、変にネタバレしてしまうと逆にがっかりさせてしまいそうで申し訳なく思いました。
まあ、何を詠むかではなくて、何が読み取られるかが大事なので、どんな解釈でも、歌がいいものになるならOKです (笑

他の選歌を見ても、全体的にイメージの強い、観念的な作が選ばれている印象で、
飯田さんの好みなのかな、という気がします。

「038:抱」なんていうのは、イメージの最たるもので、
僕自身、絵を描くことを趣味にしているのですが、
この歌は、百首の中でも一番、絵を描くのと近い感じで詠み出すことができた一首です。
「070:介」のイメージは、携帯電話というツールの不思議さでしょうか。
先ほどの「困る」ではないけれど、表現は、アンバランスなものに惹かれるんですね。
あと、題詠のスタートである「001:初」が選ばれていますね。
付された飯田さんのコメントも、とても丁寧に歌のイメージを読み取ってくださっていて、嬉しく思いました。


というわけで、飯田さん、選歌ありがとうございました。
他にも選歌してくださった方がいらっしゃるので、近々、またそれらについての更新もしてみたいところです。


今年の題詠についても、サイトが準備されましたね。
題詠blog 2012

最近、うたのわからも足が遠のいていましたが、またぼちぼち投稿再開していきたいところです。
題詠も、ひとつ今年の作歌のきっかけにしていきたいなあ。
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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

題詠のついで。

前回の更新は・・・6月!?
ものすごい期間、放置してしまいました。
もし、更新を期待されていた方がいらっしゃったら、本当に申し訳ありません。
というわけで、4ヶ月ぶりの更新です。


題詠blog2011で詠んだ百首は、和歌の投稿サイト「うたのわ」で全首再掲載したのですが、
その際、一首ごとのコメント欄に、即興で短歌などを付記してきました。
そうして出来た短歌 (たまに俳句もどきも混じっています) を、一覧で公開してみます。
ところで、こういう歌って、何て呼べばいいんですかね。
返歌じゃないし、反歌ってのも、惜しいけれど違う気がするし。
ひとまずタイトルでは 「ついで」 という言葉で表現してみました。

内容は、題詠で詠んだ歌の内容に関連したものであったり、題に関するものであったり、
どこに関連性があるのかわからないものであったり、まちまちです。
基本的に、投稿するときになって即興で付けていったものばかりなので、
テーマも一貫せず、クオリティも安定していないと思います。

そんな、よくわからない作品群ですが、よろしければご覧ください。
元々の投稿歌がないとわからないだろうので、それらも一緒に掲載しました。
結果、随分長くなってしまい、見づらくて申し訳ありません。



000
(題詠百首を始めるにあたり、詠んだ一首です。)
・百度の三十一文字の韻律をいざこそ詠まめ空高ければ

008下手
両つ目の、君を見ること下手なれば歪なるかな吾が恋心
・よこざまの目を直ぐせんと瞑りては上手ならめや恋のまなざし

009寒
暖房の部屋の隣でベランダに冬の寒さが縮こまる夜
・まだどこか冬の寒さが隠れてるそんな気がする三月四日

014残
この夜の残り二時間君からのメールを抱いて眠らずにいる
・携帯のメールが開けないような青く正しい恋の二時間

017失
酒酔ひに現心の失せぬればまたたく星のいやまさりけり
・天にかがよふ星ぼしを見上ぐる夜のあらせばや

030遅
君よりも5歩分遅く歩こうか 後ろ頭に気持ちがゆらぐ
・うしろから歩けば君のかたちよき頭を容赦なく見てられる

031電
電柱の影に爪先踏み入れて隣の国にひとり渡ろう
・珈琲の色に染みたる影ゆゑに色づきにけむ思ひ出の街

033奇跡
くちびるからするりと現れる歌の奇跡を溶かすサイダーの瓶
・炭酸の泡ひとつぶにひと文字をのせては青く歌の澄みけり

039庭
浅蔭に稚児らの遊ぶ小庭には踏まると知りてなほ花の咲く
・駆け廻る子らの瞳にひらめきて遠く光は明日を照らせり

044護
傘を持つ少女が一人警護するように立ってる雨の一幕
・少女モノクロームに彩られ立てりノイズの雨の向こうに

046奏
凍るような演奏会の前日に独りホールにピアノ朝を待つ
・ステージを沈めるような真っ黒に凍れば音が澄み渡る朝

047態
言葉から溢れて落ちたいくつものいらだちで出来たあなたの態度
・指ひとつ動かすときにあらわれる 震えるような君のいらだち

050酒
ひとひらの酒よ澄み果て天を満ておぼろ霞める月を雪げよ
・望月に円に白く穿たれし酒面の穴ぞ我を飲むなる
・静やかに深酒に沈み込む夜があってもいいと思える五月


055虚
ペアリングの丸く虚ろな8号は抜かれてしまった指の約束
・君の手の平をなぞりし指先は やや曲げられて今ここにあり

056摘
逆転の芽を摘み取って勝つような盛り上らない愛の囁き
・ほほを巻き濡るる手枕口に当て勝てど悔しき花一匁

057ライバル
ファミレスの隣に座る学生と五分間だけライバルとなる
・五時間がドリンクバーの五杯分

(060道)
(題詠ブログのお題「直」を、「道」と見間違えて詠んでしまった一首です。)
・アスファルト全部が影に隠された小道を歩く、モグラのように

061有無
強運の有無はニュースの占いで決まると知ったデート記念日
・晴れた朝出かけ支度を整えて占いだけは逃さずに待つ

063丈
半分の背丈の君に見えている広い世界に夢を馳せよう
・少しだけ高いところにある太陽

065羽
ばつばつとかたく羽虫がその顔を打ちつけている薄いガラス戸
・透きをりしガラスひとつに遮られ夏の境に迷ふ塊

067励
三度目の失敗をした君だから三段構えでさあ励まそう
・また次の失敗に向け君のこと励ましてやれ 昨日の恋を

068コットン
化粧水ひやりと含むコットンを充てる唇丸く膨らむ
・ゆびさきとくちびるに潜む君のこと繋ぐコットン柔らかかりき

070介
離れゆく気持のすきま無機質に介在してる着信ランプ
・君の手と同じくらいの携帯をおなじくらいのつよさで探る
・今日の朝、指から落ちた携帯と一緒に落ちたメールの言葉

071謡
凛然と地謡方のいずまいでただ一点を君は見つめる
・白拍子のおもてにかかる黒髪の揺るればとほく古りにし世かな

073自然
我は今不自然なれや手に水を掬べばあらぬ形して落つ
・ハンカチに浸むる水あとなぞりてはありし昨日の形なりけり

075朱
西の空朱に染まりて東の濃青深むる空ぞさやけき
・夏の日の千ぢに残りし水色を集めて青き夕の空かな

078卵
親鳥に温められているような丸い卵の老いらくの恋
・殻をむくまだ温かな手触りにかなしみひとつはがれて落ちた

079雑
白鴉夕べの闇に雑じらはで送電線に唯止まりをり
・真闇ゆく送電線のひと筋の夜と夜をつなぐ架け橋と見ゆ

080結婚
綿帽子に散りてひとひら結婚を祝ふ雪花消なであれかし
・朱の花 面に咲きたる白雪の花嫁の手は冷たかりけり

081配
十重二十重闇より闇と目を配り散れる光ぞ世を照らすめる
・玉の緒の綾目縁取る光鋭く天を垂れ落ち貫きて留めよ

084総
曇りの日、クローゼットの服総て焼き捨てたなら明日の日は晴れ
・マイルスのトランペットの音の粒総てをかけてありし一曲
・人生で書きとる文字の数総て死にゆく肌にひちり貼り付く

087閉
アクリルのフレームに閉じ込められて絵の具のような真っ赤な血潮
・迸る血潮ほどには色あせで赤き真白きカンバスのあり

088湧
世はなべてみづの湧くかに魂の情け深みて海となるべし
・情動の集合は静謐

089成
サーバからごくあっさりと外されて成長を止めるビールの泡
・自転車で走れはしない砂浜を波を踏みつつ裸足で歩く

090そもそも
そもそもは吾ならでただ吾が恋は君が面影夢に見ければ
・夜の夢を集めて遠し天の川

094裂
布を裂く音でむせぶ汝が黒髪のはたとゆらくを見るぞかなしき
・僕とこの世界すべてと、まるで布ひとつ裂くように千切れた今夜

096取
たおやかな指先ひとつ紫に染めてもぎ取る葡萄ひと粒
・紫に映ゆる白ゆび夕闇の月を摘み取るごとく曲がりぬ

098味
ざらざらと真綿を巻きつけたように味覚失う起き抜けの舌
・初秋の晴れたる朝に白きのど嗄らして野には虫の声あり
・壁ひとつに隔てられたる秋の空

夏実麦太朗さんに選歌いただきました。

前回の日記で、「次回は震災の歌を投稿します」とか言ってましたが、
夏実麦太朗さんに、題詠百首から七首選歌をいただきましたことが嬉しかったので、
記事の内容変更です。
感じたことなど書いてみます。

麦太朗の題詠短歌
以下、選歌いただいた歌です。☆印が、いちばんのお気に入り、とのことです。

022:でたらめ
二十四のでたらめを言う僕の目は君の真実だけを見ている

☆023:蜂
花めづる蜜蜂ひとつ飛び立てり うららけき日にいざ春よ来よ

031:電
電柱の影に爪先踏み入れて隣の国にひとり渡ろう

040:伝
真夏の夜マナーモードの携帯に明るい声で残る伝言

060:直
真西から太陽は差し 直角に縁取る几帳面なビル影

064:おやつ
恋人が信じられない夜ならばおやつの甘さだけを信じる

065:羽
ばつばつとかたく羽虫がその顔を打ちつけている薄いガラス戸



口語歌がほとんどですね。
今回、口語ではいろいろと手探りで試したこともあり、
そういった点が受け入れられたという意味で、嬉しく思いました。
一番興味ひかれたのは、「023蜂」の歌が選ばれたことです。唯一の文語歌ですが。
春の歌なのですが、自分としては同じ春を詠んだものなら、
気に入られるのは「019層」なのではないかと思っていました。

019層
層ねたる雲はがれゆく音づれに鳥のうはぐむ春の朝かな

まあ、自分がこの歌を気に入ったというだけの、手前味噌な話なのですけどね。
わけのわからないダイナミズムがあって、春の高揚感が出たかな、と。
これ以上の春の歌は当分作れない気さえしました。
対して、「023蜂」の歌は、非常に小さい。

しかし、評価をいただけたのは「023蜂」の方。
なぜそれが評価をいただけたのか、考えてみたところ、僕らの持つリアリティは、
手の届き、目の届く範囲にあるのかなと。
「ひとつ」のもつ手触りと、「うららけき日」という、擬態語的な形容詞が、この歌の肝だったのかな、
という気がします。気付いていませんでしたが。
他の歌も、確かな手触りがある歌が選ばれたのかな、という気がします。
この選歌の目は、横を向き、上を見上げ、目の前のものを見つめ、めまぐるしく動きながらも、
いつでも地に足が着いているというか、「今」あるべき肉体を持っている気がします。
僕は、いつもそこからふらりと離れてしまいがちなので、こうした視点は興味深く感ぜられました。

拙作から選歌いただくという過分な光栄をいただき、感謝いたします。
改めて、題詠に参加してよかったと思います。ありがとうございました。



話変わって、歌を詠み始めてからちょうど一年が経ちました。
詠み始めたといっても、結社に入っているわけでもなく、
短歌投稿サイト「うたのわ」にぼちぼち投稿しているだけなのですが、
というか、それすら最近ペース落ち気味なのですが、
まあ、楽しくやってます。
いいお歌にたくさん出会うことが出来ました。いろいろな方と交流もできました。
自分でも、たくさんの歌を作ることが出来ました。
これからも、楽しくやっていこうと思います。

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題詠を終えて、振り返りのようなことを。

というわけで改めて、今回の題詠の感想でも書いてみます。

何度か書いたことかもしれませんが、今回題詠にあたり、
いくつかのマイルールを設定してみました。
一番特徴的なことは、文語歌と口語歌をランダムに配置したことかと思います。
これは、せっかく百首もの歌を、文語・口語どちらかだけに限定するのも残念に感じられたためです。
読んで下さる方々には読みづらいことこの上ないかもしれませんが。

割り振りが完全にランダムになるよう、決定には、携帯電話の時計表示の数字を見て、
・奇数ならば文語歌 ・偶数ならば口語歌
としました。

他のマイルールは、
・文語歌では、できるだけ和語を使う
・お題は、出来る限り元の意味を尊重し、「人生 → 一人生きる」のような使い方は避ける
・ルビは振らない
といったところです。

題詠では、たとえば「冬」というお題では
「寒き朝~」と詠んで済ませるわけにはいかず、
必ず「冬」という言葉を入れなければいけません。
漢語やカタカナ語を文語で詠むときなどは悩みました。
「ゲーム」を文語で詠むとなったときなど、開き直ってカタカナ語で押してみました (笑
そんなこんなで、全体を通して、非常に苦吟でした。
楽に詠み出すことが出来た歌は、ほとんどなかったと思います。

しかし、難しいなりにも、やりがいがありました。
これまでやったこともない発想の飛ばし方を試みたり、
軽いものから重いものまで、歌題のレベルを上下させてみたり、
言葉の響きで遊んでみたりと、色々と試すことが出来た気がします。
特に今回、口語歌の面白さにようやく気付くことが出来ました。
細かな心情やニュアンスの表現の仕方など、いろいろと勉強になりました。


そして今回、題詠の最中に、震災がありました。
その際考えたことについては、 震災から一週間。 に書きましたので、
改めては細かく書かないこととします。
まあ、要約すると、今回の題詠歌は、震災前に詠み終えていたため能天気な歌も多く、
震災自体が、自分自身精神的にかなりの衝撃であったため、
投稿を継続すべきかについていろいろと悩んだりもしたわけです。

歌は自分のためのものではあるのですが、公開しているという意味では、自分だけのものではありません。
しかしもちろん、自分のためのものでもあるので、
歌を自分に取り戻すためにも、こうして題詠を決着させたかったわけです。
悩みましたが。
アドバイスをくださった紫苑様、ありがとうございました。この場を使い、改めてお礼を申し上げます。

後半、少しペースを飛ばしすぎた嫌いはありますが、
ともかくも、こうして無事に百首詠み終えられたこと、嬉しく思います。

題詠が終わった後、このブログをどう扱うかについて迷っていましたが、
やはり、今後も短歌ブログとして運用していこうかと思います。
あまり投稿はないかもしれませんが。
次の投稿は、震災についての歌になると思います。


原発禍の一日も早い収束を、そして、被災地の一日も早い復興をお祈りします。

題詠blog2011 投稿歌一覧 001~050

001初
白雪を踏み初めたりし足裏に溶けてはかなき冬の燃え殻

002幸
僕だけの明日をあなたの幸せに染め変えてゆく白い好日

003細
細き目に空をあふぎて日を射なば空の孔より青ぞ溢るる

004まさか
君の言う「まさか」は僕の当然で、でも分かり合う、そんな距離感

005姿
水面に姿とどむるオリオンの逆向く先に浮かぶ思ひ出

006困る
「困るのはいや」とつぶやく唇に触れる親指白んで透けた

007耕
旅先の地を踏み砕き耕せば稔る思ひを抱き帰らん

008下手
両つ目の、君を見ること下手なれば歪なるかな吾が恋心

009寒
暖房の部屋の隣でベランダに冬の寒さが縮こまる夜

010駆
駆け降りし坂はありしの傾きで見知らぬ街へ吾を誘へり

011ゲーム
この恋のゲームなりせばセーブしてレベルを君に見せましものを

012堅
膝頭が堅くぶつかるその音が鈍くゆさぶる言葉の合間

013故
故あれば雨も降るらん故あれば吾の憂ひもこぼれ落つらん

014残
この夜の残り二時間君からのメールを抱いて眠らずにいる

015とりあえず
とりあえず開くページの一文字目好きな文字なら、これは名作

016絹
粘りつくような夜には絹の肌舐めとるような愛であってよ

017失
酒酔ひに現心の失せぬればまたたく星のいやまさりけり

018準備
今朝一の天気予報は雨という 泣ける準備はもう整った

019層
層ねたる雲はがれゆく音づれに鳥のうはぐむ春の朝かな

020幻
いときなき吾はいづくに消えつらむ 笑まふ顔こそ幻ならめ

021洗
青みたるグラス洗ひて鳴る音の嬌き響きにあはれ散る泡

022でたらめ
二十四のでたらめを言う僕の目は君の真実だけを見ている

023蜂
花めづる蜜蜂ひとつ飛び立てり うららけき日にいざ春よ来よ

024謝
千の理に吾は悖りき謝れば一を加ふるあだし世の科

025ミステリー
ミステリーの末のページを開くごと結びし情解けずもあらな

026震
千すぢの糸を描きて罅割るる氷に戦くや震ふるグラス

027
雨上がりもの思う吾が髪ひちて36℃に水温みけり

028説
何百の自説を曲げて作られた君の言葉に潜む現実

029公式

公式のごときダイヤを走りたる電車に映ゆる五色の日差し

030遅
君よりも5歩分遅く歩こうか 後ろ頭に気持ちがゆらぐ

031電
電柱の影に爪先踏み入れて隣の国にひとり渡ろう

032町
目を暝り光を浴びるかのように新しい靴で歩く町並み

033奇跡
くちびるからするりと現れる歌の奇跡を溶かすサイダーの瓶

034掃
掃いて捨てられる言葉と人間は掃いて捨てよう宇宙のために

035罪
カンバスに描き留められし汝が口は両人の罪を嚥み隠しけり

036暑
コーヒーのグラスが汗をかくことに気づけるような午前の暑さ

037ポーズ
温びゆく春の日を浴びひらめきぬ ポーズ留めし魚の一跳

038抱
モノクロの写真の中で銃を抱く姿は遠く影を投げ出す

039庭
浅蔭に稚児らの遊ぶ小庭には踏まると知りてなほ花の咲く

040伝
真夏の夜マナーモードの携帯に明るい声で残る伝言

041さっぱり
夜の雨にさっぱりわからないジャズを愛しく思う屋根のインプロ

042至
ひと音に吾を縊るかにメロディを紡ぎて至るレクイエムあり

043寿
寿きのひと声高く響きけり暗き道より出づる朝に

044護
傘を持つ少女が一人警護するように立ってる雨の一幕

045幼稚
言の葉のげに幼稚なるひと節にかれは乙女にあらんとすなり

046奏
凍るような演奏会の前日に独りホールにピアノ朝を待つ

047態
言葉から溢れて落ちたいくつものいらだちで出来たあなたの態度

048束
晦の真闇に橋を渡りたる心地ぞしたるあら覚束な

049方法
逃げ失せし猫を見つくる方法のありや死角の多き町並み

050酒
ひとひらの酒よ澄み果て天を満ておぼろ霞める月を雪げよ

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
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題詠blog2011 投稿歌一覧 051~100

051漕
大海を漕ぎ損なった笹船のように沈んで行くエレベーター

052芯
触れわたる肌の熱きにもの思ふ 有情の芯に火を点さばや

053なう
なう人の世にも無辺の天の慈悲あらば見ゆめり千年の深雪

054丼
丼を包まんとして幼な子の小さき指は凧のごと張る

055虚
ペアリングの丸く虚ろな8号は抜かれてしまった指の約束

056摘
逆転の芽を摘み取って勝つような盛り上らない愛の囁き

057ライバル
ファミレスの隣に座る学生と五分間だけライバルとなる

058帆
出帆の朝遥かに凪いだ海遠くとどろの潮騒を聞く

059騒
騒がしいディストーションのストラトの8ビートでハシる心臓

060直
真西から太陽は差し 直角に縁取る几帳面なビル影

061有無
強運の有無はニュースの占いで決まると知ったデート記念日

062墓
墓碑銘を欠き刻みたるひと文字のきしる音こそ汝が証しなれ

063丈
半分の背丈の君に見えている広い世界に夢を馳せよう

064おやつ
恋人が信じられない夜ならばおやつの甘さだけを信じる

065羽
ばつばつとかたく羽虫がその顔を打ちつけている薄いガラス戸

066豚
鍋底で部屋の灯りを濁り汁越しに見上げる豚のエナジー

067励
三度目の失敗をした君だから三段構えでさあ励まそう

068コットン
化粧水ひやりと含むコットンを充てる唇丸く膨らむ

069箸
箸先をくはふる丸き唇はふはりとかろき花の咲くごと

070介
離れゆく気持のすきま無機質に介在してる着信ランプ

071謡
凛然と地謡方のいずまいでただ一点を君は見つめる

072汚
振袖にアナスイの紙袋持つ乙女に汚れ些かあらじ

073自然
我は今不自然なれや手に水を掬べばあらぬ形して落つ

074刃
白肌の白き刃に溶けゆきて眼には御母の愛を湛へつ

075朱
西の空朱に染まりて東の濃青深むる空ぞさやけき

076ツリー
片付けもされず残ったクリスマスツリーに褪せてゆけ願い事

077狂
佯狂の人の瞳にひらめいて光遥かに響く遠雷

078卵
親鳥に温められているような丸い卵の老いらくの恋

079雑
白鴉夕べの闇に雑じらはで送電線に唯止まりをり

080結婚
綿帽子に散りてひとひら結婚を祝ふ雪花消なであれかし

081配
十重二十重闇より闇と目を配り散れる光ぞ世を照らすめる

082万
千々照らふあまた甍の万華鏡返り見たれば馳せまはりけり

083溝
指にて溝を画きたる瓶詰めのハンドクリーム青く翳りぬ

084総
曇りの日、クローゼットの服総て焼き捨てたなら明日の日は晴れ

085フルーツ
天秤にごろり2つのフルーツはみずみずしさで釣り合っている

086貴
四方の海千尋はるかに日の差して貴なる人のみかげしのはゆ

087閉
アクリルのフレームに閉じ込められて絵の具のような真っ赤な血潮

088湧
世はなべてみづの湧くかに魂の情け深みて海となるべし

089成
サーバからごくあっさりと外されて成長を止めるビールの泡

090そもそも
そもそもは吾ならでただ吾が恋は君が面影夢に見ければ

091債
債鬼我を追ひてつつきて火の車にて上しやる針の山かな

092念
観念をしたかの面で目を瞑りハードカバーを両手で閉じる

093迫
山際をひたすかに雲迫りたり 堰きもあへぬは涙なるかな

094裂
布を裂く音でむせぶ汝が黒髪のはたとゆらくを見るぞかなしき

095遠慮
飛ぶ車景にリズムを合はせ母を呼ぶ少女の声に遠慮なきかな

096取
たおやかな指先ひとつ紫に染めてもぎ取る葡萄ひと粒

097毎
宵闇に見る月毎に積もる日を掘りおこしてん青春時代

098味
ざらざらと真綿を巻きつけたように味覚失う起き抜けの舌

099惑
ウイスキーロックとZEPのLPに幻惑されて夜は朝となる

100完
紅に薄く絵の具を含みたる小筆を措きて画の完りぬる

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

完走報告 (三沢左右)

完走いたしました。

文語歌と口語歌を、時計の数字でランダムに決定する
文語歌では、できるだけ和語を使う
お題は、出来る限りもとの意味を尊重し、「人生 → 一人生きる」のような使い方は避ける

などのマイルールを立ててスタートしてみたのですが、思った以上に苦吟でした。
楽に詠むことができた歌はほとんどないのではないかと思います。
ペースが速かったように見えたのは、準備期間が長かったからです。
実は、スタート前に60首くらいは完成させてありました (笑

普段詠まない歌題で苦労したことで、自分の全力を出し切ることができた気がします。
いろいろと、いい経験になりました。

1~100のお題と投稿歌は、次の記事でまとめて一覧にしようかと思います。

応援してくださった皆様、ありがとうございました。
これから、他の方のお歌も読ませていただこうかと思います。

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

100:完 (三沢左右)

紅に薄く絵の具を含みたる小筆を措きて画の終わりぬる

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

099:惑 (三沢左右)

ウイスキーロックとZEPのLPに幻惑されて夜は朝となる

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

098:味 (三沢左右)

ざらざらと真綿を巻きつけたように味覚失う起き抜けの舌

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

097:毎 (三沢左右)

宵闇に見る月毎に積もる日を掘りおこしてん青春時代

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

096:取 (三沢左右)

たおやかな指先ひとつ紫に染めてもぎ取る葡萄ひと粒

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

095:遠慮 (三沢左右)

飛ぶ車景にリズムを合はせ母を呼ぶ少女の声に遠慮なきかな

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

094:裂 (三沢左右)

布を裂く音でむせぶ汝が黒髪のはたとゆらくを見るぞかなしき

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

093:迫 (三沢左右)

山際をひたすかに雲迫りたり 堰きもあへぬは涙なるかな

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三沢左右

Author:三沢左右
短歌を詠みます。

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