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題詠blog2012 投稿歌一覧 001~050

001今
今宵涙の滲みたる文も東風吹かば花の香を添へ君に届けん

002隣
洋壜の小酒に隣りて並みをれば色褪せてこそ甘きPhotograph

003散
寄せてまた海へと散れる白波を纏ひて誇る瀬戸内の船

004果
海見ればやがて果てなん玉の緒の陽の集まりて我が目をぞ射る

005点
首筋に走る動脈赤あかと熾火点れり 君が頬赤き

006時代
君と見しキネマのゲイリー・クーパーの若き微笑を時代と呼ばん

007驚
驚きを目に焼き付けて振り返るタカアシガニの水槽の前

008深
爪深く刺さりし荊 綾為して ひらとほころぶ緋色薔薇

009程
雪降れば眺めの程はあらじとや 遠き山辺ははた見えざりき

010カード
不器用なカード魔術の演出で指にからめる君のまなざし

011揃
電話機と並ぶ手袋揃ひありてわが手のかたちながら残りぬ

012眉
微笑みをこぼさないよう黒く刷いた眉のカーヴに寄せる唇

013 逆
行く川に逆らい泳げ魚たち 鱗が海を忘れぬうちに

014偉
雁がねは偉きものなり 見上げても見果てぬ山を越えてゆくなり

015図書
図書カード絵の美しき一片を栞となせり春の川辺に

016力
観覧車回す力に君を抱けば月の巡りて 今、朝は来ぬ

017従
CDの回転数に従って乱反射する別れの涙

018希
朝にはモノクロームの絵のごとき日のあらんこと吾は希ひつ

019そっくり
そっくりな爪のかたちをした君に惹かれる僕は間違っている

020劇
合唱隊はいづこにありや円形の劇場舞台をひとり踏みたり
(合唱隊…コーラス)

021示
ぬばたまの黒く伸びたる髪の端の示して赤き君がペディキュア

022突然
突然の心変わりに太陽を蹴って沈んでゆく川魚

023必
君われを恋ふや別れし朝には必ずといふことばありけり

024玩
幼子のやはらかき手ににぎりゐし玩具熱もてわが髪を焼く

025触
ああ君に抱かれた朝 カーテンに背のびの丈で触れる朝よ

026シャワー
夏の夜のシャワーにも似てカーテンのレースに滲む闇の細漏れ

027損
絵筆持つ手のなか指の付け爪を損のうて泣く君ぞ愛しき

028脂
丼に円き脂の透きたればそを啜るわが胸のすきゆく

029座
イチゴほど小さな足を投げ出して座る赤子の目の色深き

030敗
闇に吠える蛙ら虫ら太陽に敗れ散りゆく5時50分

031大人
Fコード押さえる指が欲しかった 大人になりたいわけではなくて

032詰
CDのケースに君のしぐさとか声とか愛を詰めて閉じようか

033滝
滝の打つ水面に爆ずる玉白く小さく淡く高く散りゆく

034聞
聞き耳を立てるベッドの背中越し 電話相手の口ぐせが嫌

035むしろ
明くるよりむしろ久しき夜の夢に君の千鳥のおとづれを聞く

036右
右の目をあなたにあげる だからもう追いかけないで左の視線

037牙
絡まった長いあなたの髪の毛を食い切る牙を僕は持たない

038的
ボウリング7番ピンを的にして8号球の君かわいいね

039蹴
テーブルの脚をことんと蹴り鳴らす少しいらだち日のレストラン

040勉強
勉強の二文字を口ぐせとしたる兄は車庫入れ二度失敗す

041喫
燐寸擦り煙草喫む男 両つ目に火を映さじとまなぶた閉ぢつ

042稲
口づけが脳を揺さぶるスピードは稲光より速くて痛い

043輝
蝉の背の輝きに似て夏の日の水ぎはの君の踵まばゆし

044ドライ
君の立つ水辺にドライヤーを投げ君とふたりで感電したい

045罰
僕に似るつらきものらの罰せらるるアニメの中に入りたし僕は

046犀
犀の背のたるみの上によろひたるかさぶたのごと在りし日の歌

047ふるさと
父の見し枇杷朝焼けに燃ゆるとき葉の黒ぐろとふるさとに落つ

048謎
いま君が胸に塗る謎ひとかけら舐めとるような朝の日だまり

049敷
天板に敷いたクロスの縁取りのレース模様も今宵甘やか

050活
喬木に爪をかけたる千鳥らのしば鳴くごとき生活のあり
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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

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三沢左右

Author:三沢左右
短歌を詠みます。

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