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鏡連作

以前、twitterでつぶやいた一首をきっかけに、お題「鏡」で連作を作ってみました。
20首あります。
きっかけとなった一首は、初めの「人一人~」の一首です。




人一人鏡の前に立つ宇宙 宇宙に人は君ふたりだけ

阪急電車地下突入の瞬間の窓に映れる後頭部あまた

繊月の鏡の縁に夜を刻む白きものあり息の緒を吐く

とうめいの扉の食器棚映す鏡のうちに見知らぬ食器

手鏡に白き粉つきテーブルの氷水いま海となりぬる

見下ろせば湯を映す鏡 意味のなきごとき鮮血小指に滲む

鏡割れし闇に残れる静寂に針の痛みを知りてたゆたふ

鏡持ち窓辺に立てば高天果つる空に落ちなん子らぞすがしき

木の下暗がりもてゆく夏の木のもとの鏡うづもる湿りたるつち

直面をわがまなざしにさらすなり 松ひともとに影はあらざり

来客用玄関映す巨きなる鏡 かがみて人や泣くらん

CDを鏡に白き顔を見れば音飛びの傷に断たるる目玉

鏡面に衝たりて跳ね返る音のロックンロールを聞きていねけり

手鏡を持ちて座椅子に横たはる遠き記憶の君を真似をり

カーテンを引きし部屋にも朝満てり しとねに浮かぶ鏡のかたち

目を閉ぢて鏡の前に立つごとく人のひとりのこころをぞ思ふ

希臘の神話の古人の顔を見き いや美しき白きかんばせ

さみどりの縁のバッグに手鏡を覗かする人涙隠しき

丁字路を歪め立ちたる鏡ありその下を行く歪み人あり

かけまくも鏡よ鏡かがみさんガラスに衝たるカラスのこころ



以上です。
最近更新していませんが、短歌自体はちょこちょこ詠んでいるのです。
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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

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