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題詠blog2014 添え歌一覧 001~050

001:咲
金網に咲ける朝顔青あをと天にかけたる白雲に映ゆ

002:飲
むざむざと飲み込まれたる一声のあり一条の陽差す寝室

003:育
眼裏に小さき栗鼠の育つ日々に忘るまじき思ひ出もあり

004:瓶
坂道を転がる瓶の音鈍く魚ゆるるかに浅瀬行く見ゆ

005:返事
見ないふりすればよかった見たならば君が欲しがる返事をする

006:員
独創の徒の一員となりにけり 一歩踏み出す日のつひに来ず

007:快
不快なる絵なれば見たし不穏なる情ひとたばね掴み立ちをり

008:原
いらいらと揺るる薄野原広く吾は咳く風になりたし

009:いずれ
子を噛みし犬も噛まれし子もいづれむなしくならむ日々の過ぎゆく

010:倒
野分過ぎ晴れわたりたる大空の直下倒るる幟ひともと


011:錆
遊歩道ゆ行けば小さき錆いろのオブジェにはとりを擬き立ちたり

012:延
一日を延べて借りたるCDの音シャリシャリと鼓膜を急かす

013:実
ずるずると熟れたる果実もぎるとき肘を伝へるしづくこそばし

014:壇
万雷の拍手に打たれ骨肉の裂け散りわたる壇上の惨

015:艶
蛞蝓のごときくちびる艶然と開きて皮肉壁に投げつく

016:捜
ラスコーリニコフの物語(上)を捜しをりいや暗き書棚を

017:サービス
長距離バスは黒きものらに牽かるらし深夜サービスエリアの灯り

018:援
声援を振り払ふごとざくざくと頭振りけり髪長き人

019:妹
春の瀬に花降り敷けり吾妹子の手を取り靴を鳴らして歩く

020:央
新しい学習机の中央に飛び立つ鳥の絵を描きつける


021:折
折りづるを濡らせよ降りしきる雨よ 喉かはきたる子を撫づるごと

022:関東
関東を覆う分厚き雲の下電車の窓は驟雨を弾く

023:保
明日の来る保証はないと言ふ人の目に映りたる日常愛し

024:維
チョコレートの品質維持のために購ひし冷蔵庫部屋の片隅に唸る

025:がっかり
がっかりとした表情を本棚の右側面の染みに見る午後

026:応
応援をしてみたきものありたとへば網戸に脚をかけたる羽虫

027:炎
怪気炎上ぐる美童のつぶらなる瞳 硝子のビルを映せり

028:塗 ―お題詠み込みミス―
画用紙にクレパスの油脂ぐいぐいと太陽よりも輝ひてあれ

029:スープ
老母かつてコーンスープの缶詰を落としけり床の三角の凹み

030:噴
背後ではコーヒーポット噴き零れ花咲く朝の接吻のこと


031:栗
潤みたる眼球隠すまなぶたをややふるはせり栗爆ずる音

032:叩
鋏の刃を握りて椅子の肘掛けを叩きけりあなや軽き音のす

033:連絡
手と足の連絡途絶ゆ階段を上る足元冷ゆる冬の夜

034:由
ノートには理由なき愚痴いらだちの言葉ことば言葉 並みをり

035:因
そのかみの都の怪異そに因む名のすさぶるを抱き眠る町

036:ふわり
火をまとひ舞ひゆく振り袖のごとくふはりと部屋を離れて行かむ

037:宴
酒宴にて瞬間声の遠くなり血の鉄錆の味を欲りけり

038:華
釘の影壁に伸びをり華奢なる電気スタンド机上に震ふ

039:鮭
紅鮭の赤き色もて芒野を燃やさば星降る夜の明けなまし

040:跡
消しゴムをかけても残る鉛筆の跡みたいやね おととしのこと


041:一生
どようびにすれ違ひし人幾千の幾千にすべて一生のあり

042:尊
わたつみの底ひを這へる章魚ひとつ暗みに伸ばす脚の尊き

043:ヤフー
人生の岐路を迎えた実感のある日もヤフーニュースを開く

044:発
雪の降る上りホームに立つ夜は発射メロディを口ずさみたし

045:桑
カーテンの向こう小さき桑の実は風に揺れつつ刹那艶めく

046:賛
絶賛の言葉は全て本当でその分早く傷む脳髄

047:持 ―お題詠み込みミス―
開場を待ちつつ道を見下ろせば歩く人あり走る人あり

048:センター
歩行者のなき踏切に立ち止まる 医療センターにつながる歩道

049:岬
石ころを蹴れば海へと転がれり 春の岬に風かぐはしき

050:頻
大き木の宿りはいかがこころよきあまた千鳥の鳴くこと頻り
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Author:三沢左右
短歌を詠みます。

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